ELVISエルビス次の狙いはテレビだ!5
前回までは、マネージャーのトム・パーカーの野心がエルビスを使った世界制覇、というところまで。
次の狙いは、テレビであった。
テレビこそがアメリカ庶民の娯楽の座を奪おうとしていた。
これまでエルビスは、南部の地域で人気と影響力が認められてきた。
これからは、東部や西部の文化の面でも、経済的な面でも、この国をリードしている地域の人々にもアピールする必要があった。
それにはテレビが、もっとも都合がよかった。 「ハートブレーク・ホテル」 を録音したあと、エルビスは全米ネットのCBSでオンエアされている番組に6回にわたり出演している。
しかし「歌う動作があまりに下品でセクシー過ぎる」
さらに
「不潔な黒人文化に影響された風俗に健全な白人子女を染める」
というもので、若者がエルビスに惹きつけられるのと反比例して、それと同じエネルギーでアンチ・エルビスの感情と行動が沸き起こった。
(ここまで「エルビス世界を変えた男」からの1部転載です)
ビートルズの時もその若者たちのヒートアップが社会問題となったが、日本のベンチャーズが起こしたエレキブームも私が中学生の頃、社会問題になっていた。
PTAや婦人団体、青少年保護団体もエルビス非難の宣言を発表。
特に宗教界は、彼のコンサートやレコードなどのエルビスに関係するあらゆるものをボイコットする運動に出たりした。
これらの現象は、アメリカの、この時代が発する呻(うめ)きであったと考えられる。
古き良き時代の価値観が、崩れ去ろうとしている、それに対する人々の抵抗であった。
白人と黒人の人種差別問題、しかしエルビスの歌から黒人の音楽に魅力を感じ、黒人の文化に理解を示す若者が増えていった。
エルビスは自分では気が付かないながら、時代を動かすキーパーソンとなっていた。
そして、いよいよエド・サリヴァンのショウへのテレビ出演とつながっていく。
今回はこの辺で。