Jacoが生み出す創造と破壊
エレクトリック・ベースに関して、まさに、天才と呼ばれるに相応しい、表現力と習得した技術。
それをウェザー・リポートのアルバム「8:30」収録曲、ブラック・マーケットで聞くことができる。
即興的に演奏されるつなぎフレーズの多様性とグルーブ感。
どれだけバリエーションをもっているのか?凄いの一言!
祖父がジャズドラマー、父親がジャズシンガーという、幼児期からの環境の影響も充分考えられるが、
自分の求める音を実現するため、フレットを抜き、ジャズベースを改造し自前のフレットレスベースを作り上げた。
演奏技術の難しさはフレット付きのベースの比ではなく、難しい。
正確な音程を出すための、弦を押さえる左手の形、そして指運びの訓練。
もちろん、音程を正確に聞き分ける確かな音感も。
ライブ映像では、演奏中にペグ(弦巻 )を操作し音の狂いを修整している。
独学で、習得したのは、やはりたゆまぬ練習と、天才的な才能が備わっていたからと考えられる。
革命的なベース奏者として、また作曲家、編曲家としてのジャコ。
ピアノの演奏も、難なくこなしている。
ツゥーツ・シールマンスの演奏するハーモニカと「スリー・ビューズ・オブ・ア・シークレット」での2人だけのセッションライブでは、主にコード進行主体のピアノの演奏ですが、私は目を見張りました。
◆素晴らしいピアノの伴奏を聞かせてくれました。
曲の演奏中、ジャコが遊び心でアドリブのフレーズ入れて、それにシーマンスのハーモニカがアドリブで答えたり、お互いに探りを入れるのを楽しんでました。
エンディングは、ジャコのお得意のビバップのフレーズとコードでお決まりのワンパターンで決まり!
さて、話は変わります。別のライブでの驚きの行動、
ステージラストでの空中高くベースを放り上げる映像。
まさに、破壊的で衝撃的な行為だ!
◆落下してベースが壊れてしまう!
ジミー・ヘンドリクスとついつい比較してしまうが、ベトナム戦争当時の冷戦下では、世の中に不満と不安が蔓延していた。
ジャコの時代はどうだったのか。
あまりにも革新的なジャコのプレイは、心理的にも観客に大きな影響を与えた。
観客の反応を楽しんでいるのか、お互いに煽り、煽られてエスカレートしていくような雰囲気が感じられる。
映像から受ける印象。
既成概念を超えた、私たちが
聞いたことがないベースの音とその音楽性。
コード弾きの和音やハーモニクスのスパイス。
今度はステージでの悪餓鬼ぶり、これをどのように、受け取ったらよいのだろうか。
奇怪な振る舞いや、観客の心を煽るステージでの乱暴なアクション、
マスコミが感じる興味や、大衆の関心を引き寄せるエピソードには事欠かないジャコ・パストリアス。
憧れの存在だったミュージシャンとしてのジャコは、それでも
変わらず私の心の中に住み続けるようです。
◆偶然にもジャコが生まれた年と月が、私も同じで、1951年 12月でした。
ジャコが生きていれば65歳になってます。
何か、不思議な気持ちになります。
では、この辺で。