生ギターの生物的な呼吸
その部屋は通常暗室で、CADの自動作画機が設置され、エアコンで空調、それはフィルムの収縮を極力発生させないために必要でした。湿度は低め、乾燥が原因で起きた楽器のトラブルでした。
その部屋の片隅にある人のガットギターは立て掛けられていました。どこで手にいれてきたのか定かではありませんが、
それから、幾日かしてそのギターはひび割れて、ネックの付け根はボディーと剥離して悲惨な状況でした。
駒「弦の固定をする」、エレキギターでは、ブリッジとも、テールピースともいいますが、
その駒が、剥がれて外れて、とても本来のギターの外観からは想像できない、壊れ方でした。
駒には弦がぐじゃぐじゃなまま、つながってました。
このギターの寿命はもうここまでか?と思わせる程の壊れ方でした。
所有者に、これはもう使い物にならないから要らないですね、と確認して無惨な姿の壊れたギターを引き取ることにしました。
このギターをもとの姿に戻すことは、確証はありませんが、自分なりに何とかやってみようと取り組むことにしました。
ネックの付け根と
ボディーの隙間は1㎜くらいなので、隙間に木工ボンドを垂らし込んで乾燥するのを待ちました。
剥がれてしまった駒は、元の位置に慎重に位置会わせして、木工ボンドで貼りつけました。
ボディー表面の割れ目にも、木工ボンドを垂らし込んで乾燥するのを待ちました。
ボディー裏面のごく細いひび割れ部分には、クリアラッカーをスプレーで吹き付けて、何とか強度を持たせるようにしました。
全ての修理箇所が乾燥してから、弦を張り調弦をしてみました。
木工ボンドの威力は恐るべし!
隙間から、はみ出た木工ボンドは格好悪いですが、通常のギター演奏は出来るようになりました。
バラバラに破壊されたギターが、また命を吹き込まれ、本来の音色を響かせることができたのでした。
このギターとも、手元に置くようになって35年は経つのでしょうか。
隙間に木工ボンドを、再度流し込む作業は7~8年前に実施しました。
娘が幼いときに、このギターを気に入って、シールを貼ったりしましたが、ギターは今も元気に私の期待に応えてくれます。
土曜日、深夜の、ふれっとれすおやじ